海外論文投稿への意地

以前このブログでも触れた海外論文投稿。


まず、社内での承認を得る必要があります。

 


部署として問題ないか(第一ステップ)、

内容的に外に出せる技術レベルにあるか(第二ステップ)、
知財的に問題はないか(第三ステップ)、

そして会社として問題ないか(最終ステップ)。

 

こんな形で4ステップの承認工程が踏まれます。

 

 

第一ステップ、第二ステップは難なくクリア。
ここで承認を与えるのは、プロジェクトリーダーや部長などです。
元々報告書を回覧していたので、その内容は少なからず理解してもらっていたようです。

 

 

第三ステップ。
これが意外と難関です。承認権限は知財担当部門長。
というのも、知財は技術とはある意味無縁な所での評価になるからです。
会社としては、社外に出さなくてはいい情報は出したくない。

私が今投稿しようとしている内容は、諸事情により既に出願済みです。


諸事情というのがポイントですね。


特許は出せば出すほどいい、という印象がある人もあるかもしれませんが、
それは間違いです。というのも、以下の式が成り立っているからです。

(恐らく多くの方はご存知かと思いますが.....)

 

 

出願する=公開される

 

 

特許になるにしてもならないにしても公開され、公知例となってしまいます。


そのため、本当の肝の部分はぼやかしたり、

本当の技術内容とは異なる側面からの切り口で新規性をうたう、

またあえて出願しないなど、ここは戦略となります。


さて、私の場合、諸事情により出願していましたので、

「ここはクリア」といいたいところでしたが、
内容については実は色々と制約が付きました。

 

詳細はかけませんが.....。いやはや、知財戦略というのは奥が深い.....。


日々勉強になります。

 

 


そして、最終ステップ。

何の問題なく通過するかと思ったら、承認権限をもつ、

事業部長や役員が意外と細かかった....。

 

 

観点が完全に経営目線です。

 

 

そりゃそうか。


2人いたのですが、両者が口をそろえたのが

「それを公開することによる会社の損失はないのか」
という話です。

これについては、特許を出願しているのでどちらにしても公開される。
懸案はない、と伝えました。


そして、もう一つ聞かれたこと。
「会社にとってメリットはあるのか」


おー、そうきたか。


確かに、自分を売り出すことは考えていたものの、会社のメリット.....。
我ながらここをあまり考えていなかったことを反省。

とはいえ、彼らを納得させられなければ....。


そこで、以下のような話を切り出しました。

 

自分を売り出したいとは言わなかったですが、
業界の動向を正直に話をした上で、
「この業界で我が社も実力があるというのを公知にすることは、
将来的な戦略的パートナーとの交渉を優位に進めることにも貢献できる。」


そして決め言葉。


「会社の実力をその業界の人たちに知らしめてやりたい。だれにも負ける気はしない。」


役員は大笑い。


「わかった。やってみな。」

 

ふぅ~。
建前をアドリブでつくったものの少しひやひやしましたわ。

 

これでようやく外で戦う許可を得られたというわけです。


逆に言うとここからが技術的本番ですね。

 

私のことを何も知らない、

その道のプロが雑誌に掲載する価値があるかどうかを審査するわけで。

 


わくわくしています。

 


修士課程で海外論文投稿したかったのですが、

諸事情で果たせなかったことへのリベンジ。
(別のブログでこの背景は書きます)


卒業してから10年目の再挑戦です。


下手な博士には負けない実績を残すため、頑張ります!

 

これらの実績があるべき姿を見つけ出す一助となれば最高ですね。