最近悩んでいることがあります。
それは、時間の捻出です。
プライベートもそうですが、何より仕事の中での時間捻出がとても難しい。
ここでいう時間というのは何かというと、
自分がつきつめたい現象や原理などを探求するために、
研究に没頭する時間のことです。
一般的に、会社では声高らかに忙しそうにしているほうが楽ですし、
評価も高いと思います。
しかし今の私は、
評価されるよりも自分が知りたいことを突き詰める時間が欲しいのです。
なかなかそうならないのが世の常。
昔の上司は、よく「会社は目的型研究所なので、ものにしなくてはいけない!」
と言っていました。
それはその通りです。
が、現象と原理を理解していないと、
ものにしてから色々な問題が噴出することがよくあります。
私は会社の現場の片隅で試作していたものを、
量産化し、世界でも厳しいといわれる航空機業界の材料認定もやりとげました。
しかし、この道中で痛感し続けたことは、
目の前の現象の裏に隠れている原理をきちんと理解しているか、
現実がわかっているか、というところでした。
そしてそれに加えてとても大切なのは、起こらないであろうという問題は、
すべて起こるかもしれない、
というリスクアセスメントを十分に行うこと。
どこかの電力会社にも同じことが当てはまるのではないでしょうか。
私と上司の二人三脚で世に出した世界初の部品についてですが、
認定試験中も予想だにしないことが多々起こりました。
量産化と簡単に言いますが、量産するにはほかの会社で作ってもらうのが通常です。
当然こうだろう、というニュアンスが伝わらなかったり、
試作ではわからなかった、もしくは起こらなかった問題が、
量産現場で起こってその場での対処を求められたり。
よく、アメリカのサプライヤーで四面楚歌になりながらも、
孤軍奮闘していたのを覚えています(なかなかつらかったですね)。
今、私は技術者寄りの研究者を目指していますが、
大学の研究者や研究しかやっていない企業の研究者との最も大きな違い、
それはきれいごとでは済まされない現実の厳しさを頭と体が知っているという所です。
これらの経験を踏まえて、先を見据えた研究をやっているのですが、
今でも会社の上の人間からは、
「もっと開発に関われ!もう一つくらい世に出せ!もっと目立て!」
といわれています。
また同僚には、
「最近開発もひと段落したから、ゆっくりできていいね。」
みたいな。気にしないようにしていますが、イラっとしますね。
最初に経験した量産化、認定の厳しさ。
これを踏まえてどんな研究成果の出し方をするのか....。
そして、このためにどのように時間を捻出するのか。
今、このアウトプットのやり方と、
それに至る私の振る舞いが試されているような気がします。
しばらく模索が続きそうです。