※(本内容はぜひ多くの方に読んでいただきたいという管理人の考えから、管理人が書いている3か所すべてのブログで同内容を記載させていただくことをご了承ください)
2014年3月11日で震災から丸3年ですね。
自然の力は時にやさしく、時に厳しいです。
自然の力の前では、地球上の上にいる生物の力など及ぶわけもありません。
今でも多くの方が避難所生活を余儀なくされ、肉親を亡くされた方々の悲しみが癒えるわけもありません。
(私の知り合いにもご両親を津波で亡くされた方がいます)
今回のブログではこの復興の大きな妨げになっている原発事故について、新聞記事、科学雑誌などの内容を踏まえて書かせていただきます。
一言でいうとホラーです。
この状況を分かっていても再稼働に動こうとする政権の意図が全く理解できません。
とりあえず、ひとつずつ時系列で書いていきます。
1.震災前
これは私も知らなかったのですが、福島第一原発の管理の一端を担っていたGE(ジェネラルエレクトニック)が東京電力と一緒に、2002年の原子炉の定期検査で見つかった亀裂などの不具合を隠ぺいしていた、という新聞連載が最近載っています。
結局この件は、勇気あるGEの社員による内部告発で公になったようですが、
原子炉の信頼性はこのような隠ぺいの上に成り立っていた虚像の可能性があります。
元々安全神話など存在しえないということがよくわかるエピソードです。
2.震災直後
すべての主タービンが緊急停止。非常用発電機始動。
その後15時35分に到達した津波により1、2、4号機で電源喪失。
この津波がきっかけで制御不能になったというのが現段階での解釈ですが、これも新聞記事や科学雑誌で新たな事実が述べられています。
- 3号機は人為的ミスにより原子炉が暴走した
3月13日、2時42分にある冷却手段を試すため、唯一動いていた3号機のHPCIとよばれる高圧注水系を手動停止。
しかし、試した冷却手段がうまくいかず、HPCIの再起動を試みるも失敗。これにより3号機は冷却手段を失い、圧力が急上昇する。
その後、メルトダウンが起こり水素爆発までつながった。
- 津波でなく、地震の揺れで原子炉が損傷した可能性がある
津波が無ければ、という考えを否定する話が新聞に載っています。上の項目でもあったように検査結果を隠ぺいしようとする考えがはびこっていた可能性あり。
そのため、地震の揺れの時点で各種配管が破損していた可能性も十分あるとのことでした。
このことを検証しようとした、元原子炉のエンジニアが東電に震災直後からのデータ入手を試みましたが、原子炉損傷可能性を示す不可解なデータもあったとのこと。
少なくとも2号機、3号機、5号機では地震の揺れは想定を超えており、設計を上回る揺れが原子炉に与えられていたことになります。
- 地震の揺れで外部電源設備は損壊
これは既に確認されていることですが、地震により外部電源設備は破損していました。この時点で、津波が来なければ大丈夫だったという話は信頼性に大きく欠けると考えられます。
3.汚染水対策
いまだに尾を引く汚染水問題。これは本当に恐ろしいことを物語っています。
- 汚染水浄化装置の盲点
汚染水を浄化装置で浄化したら終わり、と思っていませんか?
汚染水を浄化したろ過装置にはどんどん放射性物質が蓄積し、ある程度の頻度で交換する必要があります。
交換したろ過装置のフィルターは放射性廃棄物となります。
当然人も近づけないような廃棄物。これが日々積み重なっていっているのです。
さらに流入する地下水のために汚染水そのものも増え続け、タンクに「とりあえず」溜め続ける日々。
原子炉へ注水する水の倍の汚染水が増え続けています。2012年の一年間で増えた汚染水は15万立方メートル。
毎年50メートルプール38杯程度の汚染水が増え続けている計算です。
この汚染水問題を解決する手段として「空冷法」が検討されているようです。
しかしながら未知な部分が多く、実用化には至っていないようです。
4.放射性物質のゆくえ
管理人個人的に最も危惧している内容です。
そうです。燃えて消えるわけではないので放射性廃棄物は地下に保管し続けることになるのです。
これこそ大問題ではないでしょうか?ものによっては数万年、数千万年にわたって保管を続けなくてはいけないのです。
放射性能力が半分になるまでの期間の目安である「半減期」。
よく話に出るセシウムでは、セシウム137が30年、セシウム134が2年です。
最も長い半減期を持つセシウム135でも230万年。
しかし、放射性廃棄物に含まれるもののうち最も厄介といわれるマイナーアクチノイドについては、
キュリウム247で半減期が1560万年と極めて長い。
それだけ長い間安定して放射性物質として存在してしまうのです。
自分の子供たちにそんな事実を突きつけるわけにはいかないでしょう。
ここで、現在の放射性廃棄物の処分方法である地層処分という以外の放射性物質の保管方法について過去の案をご紹介します。
- 宇宙処分
放射性廃棄物をロケットで打ち上げ、宇宙空間に放出する。ただし、万が一打ち上げに失敗すると大気が放射性物質で汚染されるためこの案は採用されなかった。
- 地上保管
地上の施設に保管するという案。
しかし地上では過去数万年の間にも地震、台風、津波のような災害に加え、戦争やテロといった人災まであり、数万年以上の安定保管には向かないと考えられた。
- 氷床処分
発熱する放射性廃棄物を氷床の上に置き、この廃棄物の発生する崩壊熱によって氷の下数千メートルに閉じ込めるという案。
どの国にも属していない南極で国を超えての処分同意をすることは難しく、採用されなかった。
- 海洋底下処分
放射性廃棄物を先のとがった容器に入れ、海面から落として自重で海底に埋め込ませるという案。
海底の環境が未知であること、海底資源が発見されると考えられていること、複数の国にまたがる公海での処分に同意が得られなかったことから見送られた。
- 海溝処分
海溝のプレートのはざまに放射性物質をいれ、地球内部に取り込ませるという案。
ただし処分に失敗した場合に廃棄物の回収が困難であると考えられたこと、さらに公海での処分に複数国での同意が得られなかったことから見送られた。
どれも根本的な解決にはなっていないという事がよくわかると思います。
そして現手法での地層処分。
ガラスで固めて地下300メートルより深い岩盤に永久保管する
というものです。
300メートルという深いところに埋めるのは、放射性物質を良く溶かす酸素を含んだ地下水がないため、
そして放射線が地上に届かないようにするため、という意味もあるでしょう。
放射性物質は数万年、そしてものによっては数千万年も保管しなくてはいけません。
そのためウランを1千万年以上安定して保存できている天然のウラン鉱床と比較し、ベントナイトの主成分である粘土鉱物が地下水世流入を弱め、
ウランを吸着している例などの情報を蓄積しているとのこと。
実際の放射性廃棄物は3重の人口バリアを有する容器で保管されます。
第一のバリア:ベントナイト
地下水がしみてきた場合、その水によって膨張し、割れ目をふさぐことで地下水の流入を防ぐ
第二のバリア:炭素鋼のオーバーパック
酸素が無い状態では腐食しない。万が一腐食が始まっても自ら錆びることで付近の酸素を消費し、腐食の進行をとめる。
また腐食した炭素鋼は放射性物質の吸着性もあるとのこと。
第三のバリア:ガラス個体
放射性物質はガラスで固められており、万が一水にさらされても溶けない。
しかし、地下水に触れ続けた場合7万年後にはガラスが溶けるといわれており完璧とは言えない。
しかしながら、これらのバリアが数千万年にわたってもつのかという以前に、
保管場所を日本と考えた場合、地層処分はかなりハードルの高いものとなります。
1. 火山と地温
地温が高ければ、当然掘削は困難となります。
2. 隆起
地下に埋めたはずが隆起してしまっては、酸素を含んだ地下水に放射性廃棄物をさらすことになります。
3. 活断層
地層が動いたら保管場所も損傷し、大量の地下水が流れ込む可能性もあります。
いかがでしたでしょうか。
今の汚染水問題も大問題です。
しかし、そもそも放射性廃棄物まで考えた時、
将来の方々に廃棄物を押し付けていいのでしょうか。
原子力は今のところ問題しかなく、そしてその問題はその後数千万年にわたって尾を引くこととなります。
是非早い段階で原子力発電を辞める方向にシフトすべきです。
今日はとても長く書いてしまいました。
それにもかかわらず、最後までお読みいただきありがとうございました。
今後も「放射性廃棄物」の存在を忘れずに原子力発電のあり方を考えていただければと思います。