本部ブログへのご訪問ありがとうございます。
ユニバーサル術者のShuichiro Yoshidaです。
最近、様々な企業で社外取締役というのが増えてきました。
元ローソン社長の新浪氏もサントリーの社長になられ、
さらに複数社の社外取締役もつとめられています。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140821/270169/?P=1
このお話、管理人のような技術者にも非常に参考になる部分が多かったです。
この記事の中で管理人が個人的に共鳴した内容を自らの体験にひきつけて書いてみたいと思います。
やはり、非常に強く感じたのが
「第三者視点の大切さ」
です。
技術者も自分の仕事となると視点が狭くなりがち。
このようなときに第三者視点は大切になります。
これによって、行き詰まりを打開したり、新しいアイデアを生み出す可能性も高まります。
通常は技術コンサルタントのような、専門的知見から第三者視点を提供してくれるような人は近くに居ないでしょうから、
社内で第三者視点を入れるにはどうしたらいいか、という議論になります。
どのようなやり方が良いと思いますか?
答えは意外にもシンプル。
「技術報告書をまとめて、信頼できる社内の技術者に見てもらう」
です。
ポイントは2つ。
- 言葉ではなく、プレゼンでもなく「技術報告書」を情報提供媒体とすること
- 誰でも、ではなく「信頼できる」技術者に見てもらうこと
それぞれについて説明します。
- 言葉ではなく、プレゼンでもなく「技術報告書」を情報提供媒体とすること
対面で説明する時にはプレゼンで良いと思います。
しかし、プレゼンするにしても、聴いてもらう人の手元には技術報告書がある状態にしなくてはいけません。
第三者視点を入れる、ということは第三者視点を提供してくれる人の、
「時間をいただく」
ということになります。
そのため、説明する側も十分に頭の中が整理されていなくてはいけません。
このブログでも繰り返し述べてきていますが、技術者の頭の中を整理し、相手にわかりやすく情報を伝える「書く力」、「読む力」そして「話す力」の基礎となっている、論理性を鍛えるのは間違いなく「技術報告書」です。
第三者視点を入れる段階で、当の本人が十分に準備できていないようでは必要以上に議論が長引き、管理人の大嫌いな「ダラダラ会議」となってしまいます。
技術報告書をまとめられるのか、というのは自分が議論できる状態にあるのかを確認する手段の一つと考えるようにしてください。
- 誰でも、ではなく「信頼できる」技術者に見てもらうこと
これも大切です。口だけの人も居るのできちんと相手を選ばなくては有益な情報は得られません。
では、具体的にはどのように信頼できる人を見つけるべきか。
一般的な信頼すべき技術者の共通資質を述べます。
1. べき論を言うだけでなく、具体的、かつ現実的な提案ができる。
2. 口だけでなく、手足を動かすことができる。
3. 社内外で、何らかの実績がある。特に社外での実績があると◎。
4. 報告書を書くのが得意。
5. アドリブに強い。
必要条件としてこの4点は程度の差はあれ満たしているのが重要です。
こちらもそれぞれ説明します。
1. べき論を言うだけでなく、具体的、かつ現実的な提案ができる。
第三者視点で最重要は”提案”です。
これはだめ、これは懸案がある、というのは誰でもできます。
聞いたことについて逆説をいうだけでいいからです。
いわゆる評論家ですね。
では、これに対して、
どうすればその懸案がなくせるか、低減できるか、リスクヘッジできるか、
という「具体的」かつ「現実的」な助言がとても大切であり、これをできる人はほとんど居ません。
管理人の接している技術者の中でも、数人ですね。
確率でいったら1%くらいです。
相手は具体的かつ現実的な提案ができる相手かどうかよく見てください。
2. 口だけでなく、手足を動かすことができる。
場合によっては、その相手に助力をお願いすることがあるかもしれません。
このときに、その人が動いてくれる人なのか、というのもとても大切です。
もちろん、直接的に手伝ってくれる、というのもあるでしょう。
その一方で、さらに知見の深い人を紹介してくれる、というのもあるかもしれません。
手足を動かしてくれる、というのは信頼を裏付けるのにとても重要な要素かと思います。
3. 社内外で、何らかの実績がある。特に社外での実績があると◎。
これも重要です。
何を持って成果というのかは難しい議論ですが、信頼に値する戦闘力を有する技術者はどこかで認められているのが普通です。
それは社内で出世という立場で認められている場合もありますし、仕事の積み重ねで認められている人も居ます。
企業組織での実績というのは、本ブログでも述べているように評価は難しいところですが、組織上層部から少なくとも何らかの形で認められているケースがほとんどです。
そして、さらに欲を言えば「社外で実績がある」というのが重要です。
技術者であれば間違いなく、
学術論文
です。
事前審査が無い学会発表や学会誌への投稿では駄目です。
専門家による「査読」という第三者視点が入り、それを認めてもらったというお墨付きを得られているかが重要です。
特許も駄目です。
特許は基本的に、権利を守るための戦略ツールです。
会社の業績改善に大きな影響を与えるような製品や技術の特許はもちろん価値としては非常に大きいですが、それは本当に一握り。
そもそも特許になる前の段階でそのようなものは高く評価されています。
新規性の有無を審査されるという点では多少の説得材料になりますが、特許は技術という専門性以外の要素が大きいため、一概に評価できないのです。
4. 報告書を書くのが得意。
論理性が高いということの裏返しです。
具体的にはどのように見分けたらいいのでしょうか。
まず、報告書を書いた数が多いこと。
内容が上手というのはうまいというより、数をこなしていること。
つまり、習慣化しているかどうかが見極める一つのパラメータになります。
報告書以外に見極める方法。
それは、話をしている時に話の内容の軸足がぶれないか、言っている内容が納得できるのか、といった会話の成立性です。
そしてもう一つは会議中での振舞い。
論理性の高い人は、自然とホワイトボードに向かい、話の議論の整理を始めます。
立場に寄らず、ふんぞり返らずに話が発散しないように字という”たいまつ”をすぐに用意できるかどうかも見極めるときの基準になるかもしれません。
5. アドリブに強い。
状況は刻々と変化しています。
このときに自分の知見に固執しすぎる(信念を貫くことは場合によっては必要です)のも、助言の有用性を下げる一因です。
現状を幅広い視点から「俯瞰して」眺め、自分の知見や相談相手の状況と能力を見た上で、最良の助言を与えるというのが重要です。
そして、助言を与えた後で情況が急変するということも度々あります。
このときにどれだけその状況を理解し、柔軟な代替案を出せるのか。
このアドリブの強さを見極める機会はなかなか出会えないかもしれませんが、身近な飲み会などでの無茶振りに対応できるのか、というのは一つのアドリブ力判断指標になるかもしれません。
今後は技術の第三者視点として、現場で経験を積んだ技術者が、その現場感覚を失わないうちに技術顧問として活動する、という日も近いのかもしれません。
最後までおよみいただきありがとうございました!