日本政策金融公庫が行った「新規開業パネル調査」。
これ、中小の経営者としては非常に参考になる内容です。
以下のページから2016年度版を見ることができます。尚、2011年に開業した個人や法人を2016年まで5年間かけて追跡調査したものです。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_161228_1.pdf
細かいところは見ていただければと思いますが、お金のこと、廃業率などが比較的高い信頼性で述べられています。
管理人個人的にはよくわからない人たちの成功体験などより、こういうデータを一度見てみたかったのでなかなか興味深かったですね。
個人的に気になったトピックスを以下に羅列しておきます。
- 経営者の仕事のやりがいに対する満足度は比較的高い(満足、やや満足含めると80%以上で概ね推移)。
- 月商は5年間で250万程度から500万円程度に倍増している(年商3000万円から6000万円に増加)。
- 事業状態はかなり良い、やや良いという回答が60%と堅調。
- 黒字企業は60%弱から80%弱まで増加。
- ワークライフバランス含め、総合的な経営者の満足度は65から75%
特記すべきは経営者の満足度が全体的に高いこと、そして事業が堅調であることです。もちろん、全体でいうと10%程度が廃業したようですが必ずしも苦しくて廃業したというものばかりではなく、事業転換をしたというものも結構あるようです。
つまり、
経営者の方々はプレッシャーや不安にさらされながらも自分で自分のやりたいように経営ができているということに満足し、また結果もきちんと出ている
といえると思うのです。
もちろんすべてではありませんが基本的には満足をしている方が多いということが管理人の実感としてもあったため、この結果は腑に落ちました。
その一方で今回の結果で管理人と圧倒的に違うことがあります。
それは
借入金の有無
です。
先述の新規開業パネル調査の中では2011年の開業時に800万円程度の借入金があり、2015年の時点でも借入金は1100万円を超えています。今回の調査が日本政策金融公庫なので借入金ありきが調査対象なのかもしれませんが、確かに飲食店などを経営している知人もやはり借入金はあるといっていました。
管理人と圧倒的に違うのはここです。管理人は技術コンサルティングが主事業なので大きな事務所といった資産がほとんどいりません。仕事をするPCと携帯電話くらいのものです。そのため今まで一円も借り入れをしたことがありません。
ここが非常に大きいようです。仮に年商が数千万円どころか数億円、数十億円あったとしても借入金の比率が高すぎると自己資本率が下がり経理上はまずいという判断になります(もちろん経理の詳細ではもっと色々あると思いますが...)。
当然ながら資産を大きくしなくてはいけない業種形態、例えばメーカーや運送業は借入金とのバランスを取ることは必須ですが、そもそも資産が必要なくとも事業を成立させられるという業種があることも知っておく必要があり、またこの借入金が無い、または少ないということが経営者心理として非常に重要であるということを常々感じます。
今回の結果を見て管理人は自分の事業の特殊性を再確認できました。
やはりたまには第三者視点を入れなくてはですね。