本ブログのご訪問ありがとうございます。
朝日国際教育フォーラム「オープンエデュケーションと知の革命」で聞いてきたお話の続きです。
前回同様、いくつかのブログに分けつつ今回参加したフォーラムで聞いてきた話と、それに関する管理人の意見を述べさせていただきたいと思います。
2.武田薬品工業 長谷川 閑史 社長の講演
<概要>
ビジネス業界を代表し、武田薬品工業、長谷川社長からの話でした。
聴講者の大部分が大学関係者という前提があったのか、いわゆるものづくりの第二次産業のおかれている現状の説明と、
ご自身の考えを披露されていました。
前半の話の主点は以下の3点。
- 人口の爆発的増加が起こっている(現在70億人の人口は2080年に100億に到達するといわれている)
- 成長の主体は先進国から途上国へ
- 国の成長に必要な要素は3つ。経済、軍事、外交。日本は実績のある経済で勝負すべき
日本が永続的に反映するためにも、tax eaterではなくtax payerを増やさなくてはいけない。
そのためにも、働ける人を増やし続け、その基礎となる教育は重要である。
さらに、このような海外が成長の主体となっている今、企業としても海外で働ける「グローバル人材」が必要である。
大学も、このようなグローバルな人材を育成してほしい。
武田薬品も海外での人材採用を進めている。
とのことでした。
後半は武田薬品の成長の軌跡の話でしたので教育とは関係が薄いと考え、ここでは割愛します。
<管理人のコメント>
やっぱりでました、「グローバル人材」。
財界の人、経済の人は大好きな言葉ですね。
これに関する話は、前回のブログの内容にて管理人の意見を参考にしてください。
さて、それ以外の話で行くと、成長が海外になっているという点。
まぎれもない事実でしょう。
特にアフリカの人口増加が著しいとのお話も興味ありました。
長谷川氏の話は歯切れ良く、とても聴きやすかったですね。
ただ、1つだけ残念なこと。
お金を稼がなくてはいけない、という話は多く出てきましたが、
「薬によって、途上国の方々の力になりたい」
という言葉が殆ど出なかったことです。
内心は別としても会社のトップである以上、ユーザーの視点を入れてほしかったですね。
武田薬品創業者である「近江屋長兵衛」が現代に生きていたとしたらもう少し、
薬が不足している途上国の方々の力になりたい、と言ったに違いありません。
そして、最も違和感のあった話。
「グローバルで通用する人材を育成してほしい」
という大学への要望。
????????????????????????
という気持ちです。
大学は企業のためにあるのではなく、そもそもの存在意義は学問を学ぶ場所であるということを忘れてはいけない。
「知りたい」という知的好奇心を持つ若者が思いっきり勉強したり、
管理されない環境で色々な経験をするところ、それが大学です。
大学が企業向けの人材を育成することには断固反対ですね。
それをやりたいならば、企業向けの人材を育成する学校と、学問を学びたい大学と別々にすべきです。
管理人は今の職場で多くの若手の育成に携わっている上での現場の意見です。
評論家ではありません。
率直な感想として、企業で発揮すべきスキルというのは身に着けるのはそれほど難しくありません。
社会に出て数年かけて身につければ十二分でしょう。
むしろ、大学教育という基礎が役に立つ部分も山ほどあります。
ただし、学びたい、成長したい、という向上心があるのかないのか、成長のためにプライドを捨てられるか、そして何より「柔軟性があるのか」という前提はありますが.....。
企業向けの人材を育成するなんていう産業上層部の要望に大学は応えてはいけません。
産業界の要望の型にはまったロボットができてしまうだけです。
前回のブログで述べたように柔軟性のない型ロボットは危険です。
そして産業界のトップの考える人材は、時代遅れの可能性さえあります。
本当の最先端は若い現場の人に任せればいいのです。
色々きれいごとをおっしゃっていますが、どうも産業界上層部の要望する人材は「歯車になれ」といって「はい!わかりました!」という人材にしか聞こえない....。
歯車になるだけではさみしい人生ではないでしょうか。
まずは大学で専門家として生きる教育を受けてみる。
あれこれ考えずにまずは大学に行くと決めた以上、そこでの学問にまい進してみる。
一通りやってみて、それでも企業に行きたければ企業に行く。
大学に残りたければ大学に残って専門性をさらに高め、最前線の研究を行う。
どちらもいやであれば起業する。
というように最高学府の教育を受け、そのうえで自らの適性を考えるという柔軟性を身につける猶予を与える。
そんな選択の余地を与えられる環境を若者に用意すべきと考えます。
うまくまとまりませんでしたが、
大学は若者に「学問」を教える場所であるということを忘れないようにしてください。
長くなりましたので、今回もこのあたりにしておきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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