マズローという心理学者ときいてあまりピンとこない方も、
5つの欲求ときくとご存知な方も多いかもしれません。
生物的な欲求から人間固有の欲求まで、
5段階のフェーズに分類され、フェーズが上がるほどより高次な欲求である、
と述べられています。
第一段階が生理的欲求、第二段階が安全欲求で、
これらは多くの動物も有する基本的な欲求です。
そして、家族や友人に囲まれる所属と愛の欲求が第三段階、
第四段階は承認欲求、そして最後が自己実現の欲求です。
管理人の仕事は企業の指導で、主とする指導対象は技術者の方々です。
この仕事をしていて多いのが第四段階の技術者の方々です。
認めてもらいたい、自分は頑張っている、自分は能力が無いのではなく経験が無いだけなのだ。
そのようなことを訴える方々もいらっしゃいます。管理人として、その気持ちはよくわかります。
自分もそのフェーズにいたことがあるので....。
ただ興味深いことに、
仕事で具体的な成果を出す、成長が始まる方は、
ほぼ間違いなく第五段階である自己実現の事を主張し始めるので、
70年近く前の理論ですが本当に人の心理的動きをうまくとらえているな、
と感心してしまいます。
面白いのは第五段階に到達している技術者の年齢にかなりのばらつきがあること。
早いと30代で自己実現に関する主張を始める技術者もいる一方、
50代でも承認欲求を述べる方もいます。
この違いは何かと考えることもありますが、
私個人的には仕事に対する当事者意識と素直さだと思います。
どこか他人事で仕事をしていれば本当の力量が付かないため、
いつまでたっても高度な仕事に取り組むチャンスがもらえない。
そのため、いつまでも自信がつかない。
また自分のやり方や考え方に固執し(他人の意見に右往左往するのも良くありませんが)、他人の意見に耳を傾けることが少なければ、その分視野が狭くなる。
結局マズローのいう承認欲求という認めてほしいという段階を超え、第五段階の自己実現に到達するには日々真摯に取り組み、必要に応じて自分の言動を修正していく、
という地道なことの繰り返しなのかもしれません。